Q. 指定管理は業務委託と何が違うのですか

A.法的な根拠の違いについては法律家に任せるとして、事業を行ううえでの違いについて説明します。

 指定管理者制度は、施設の管理権限を委任する制度で、施設ごとに議会の議決を経て指定管理者を決定します(議会の議決により審査員による審査結果が覆ることはまずありませんが、審査結果を議会で説明する必要があるため、審査員はそれなりの根拠に基づいて審査する必要があります)。業務委託は業務の一部を委託する制度で、入札により委託先を決定します。

 指定管理者制度では、施設の使用許可は指定管理者が行うことになり、利用ルールやサービス内容も、自治体が定める条例や仕様書・協定書の範囲内で指定管理者が決定します。業務委託では、自治体との契約の範囲内で自治体の仕様通りに管理することが求められますが、指定管理者制度では管理運営について多くの裁量権が与えられているため、その内容を提案書で競います。

 業務の範囲は、業務委託の場合「維持管理業務」だけ、「受付業務」だけなど委託された範囲に限定されますが、指定管理の場合施設の管理運営を包括的に任されます。したがって業務委託では、決められた業務を仕様通りにしか行えないのに対し、指定管理ではある程度仕様は決まっているものの、独自の工夫をして管理運営できます。

 例えば指定管理では、魅力的な自主事業を行ったり、リース等で新しい設備を入れるなど利用者ニーズに合った様々な工夫を行う事業者もいます。また利用料金制をとっているところでは、条例の範囲内で利用料金を変更することも可能です。業務委託では利益を増やす方法はコスト削減だけですが、指定管理者制度では、利用料金の工夫やサービスの向上による利用者増、自主事業の工夫等により収入を増すことで、利益を増やすことも可能となります。

 期間については、業務委託では多くの場合1年契約を毎年更新するのに対し、指定管理では指定期間となる3〜5年の間、管理運営を任されます。したがって業務委託の場合よりも経営の安定が図れます。

2016年10月02日