指定管理者ビジネス

1.指定管理者制度は大きなビジネスチャンス

 指定管理者制度の対象となる施設は、公園、スポーツ施設から葬儀場まで多岐に渡ります。自治体所管の施設は全国で20万とも30万ともいわれ、事業規模は計10~15兆円と予想されています。そのほとんどが指定管理制度の対象となるので、そこには膨大な潜在ビジネスチャンスがあります。

 総務省の調査によると、全国で指定管理者制度を導入している施設は平成27年4月現在で76,788施設です。このうち公募されている施設は全体の半数弱で35,706施設です。前回調査より3,000施設あまり増えており、安定した伸びを示していることが分かります。

  制度導入施設 公募施設
H18.9 61,565 17,913 (39.1%)
H21.4 70,222 28,088(40.0%)
H24.4 73,476 32,187(43.8%)
H27.4 76,788 35,706(46.5%)

2.指定管理者市場への参入動向

 正確な調査があるわけではありませんが、弊社が係わっている施設をみますと、指定管理者への参入企業は年々増加しているものと見られます。新設の施設ですと、応募企業・団体が2ケタと言う例もあります。継続の施設でも比較的新しい施設の場合、5,6社程度の応募があります。   また応募企業・団体は外郭団体、NPO法人、中小企業、大企業子会社まで多岐にわたっています。いずれの場合も自社の得意分野での参入が多く見受けられます。

指定管理者制度の最近の動き

 総務省の関連団体「(一財)地域総合整備財団」では、公民連携実務研究会(指定管理者実務研究会よりH28年度に名称変更)を組織し、「指定管理者制度」や「行政事務の外部委託」の運用をサポートするための研究を行っています。その研究レポートから指定管理者制度の最近の課題や国や自治体の考え方を把握できます。

公民連携実務研究会の28年度の研究テーマ

 指定管理者実務研究会の28年度の指定管理者制度に関する研究テーマは「指定管理者制度を持続可能なものにするための方策について」です。制度運用の長期化に伴い、民間事業者等において、適切な人材および適正な利益を確保することに支障が生じたり、行政職員が施設の運営・管理に関する現場情報を持たなくなることの課題を取り上げるとともに、課題を克服し、制度の運用を持続可能なものにするための方策について検討しています 。

 また過去11年間の研究成果及び本年度の調査結果を活かし、自治体としての指定管理者制度の導入・公募・選定・モニタリング・更新・引き継ぎといった各行プロセスの留意点を整理しています。

上記研究テーマは、「平成28年度公民連携実務研修会報告書」としてレポートにまとめられています。

(http://shitekan.furusato-ppp.jp/?dest=index  指定管理者制度info より入れます)

運営権

 公共施設管理運営の仕組みとして、「指定管理者制度」、「PFI」に続き、「運営権」の導入が検討されています。運営権はPFIの一方式で、公共施設を運営する権利を民間事業者に付与する制度です。 経営創研では、運営権制度についても積極的に情報収集を行っています。

 運営権制度についてはこちらのページでもう少し詳しく説明しています→運営権制度の概要

指定管理者ビジネスの魅力

 指定管理者制度では、利用者の増加や効率的な運営によって余剰金が発生した場合には収益として計上することが認められています。しかし指定管理者事業の対象となる公共施設は、基本的に収益を上げるための施設ではないことから、大きな儲けは期待できません。また指定管理料として税金が投入されていることから、大きな利益が見込める場合は、指定管理料の削減を提案したり、利用者に利益の一部を還元することが求められます。したがって事業への参入によって巨額の利益を上げることは期待できません。

 しかし一方で次のようなメリットが期待できます。

  • 新たな設備投資が必要ないので、リスクが少なく確実性が高い。
  • 収入に対する利益率は低いが、投資が必要ないので、投下資本に対する利益率は高い
  • 指定管理料として一定の金額が保証されているので、確実な収益が期待できる。
  • 本業以外に事業を展開する一つの手段として、指定管理事業に参入することにより従業員の意識の向上に役立つ。
  • 本業と関連する事業の場合、業務を拡大することによって規模のメリットが期待できる。

指定管理者事業のリスク

 指定管理者事業の最大のリスクは期間が決められていること(概ね3~5年)です。もし継続して指定が取れなければ、当該施設で雇用していた人材が宙に浮いてしまいます。現場の担当者は次期の指定管理者に継続雇用をお願いするにしても、管理者まで雇用してもらえるとは限りません。そのため指定管理事業の担当者は期間を決めた契約社員として雇用することになりますが、本社の人材を投入する場合には、指定が取れなかった場合の人材の吸収方法についても十分に考えておく必要があります。
  また以前ほどではありませんが、財政難から指定管理料は年々下げられる傾向にありますので、経費削減や増収策についても十分に検討しておく必要があります。