Q. 運営権とはどのようなものですか
運営権(公共施設等運営権制度) は公営施設を運営する権利で、公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間の資金、経営能力、技術的能力を活用して行うPFIの一手法(コンセッション方式※)です。自治体等の公的主体が民間事業者に権利を付与します。平成23年度のPFI法改正により、当制度が導入されました。その結果利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公的主体が有したまま、運営権を民間事業者に設定することが可能となりました。
しかし文教施設については、地方公共団体による導入事例がありません。文科省では検討会を作り、スポーツ施設・社会教育施設・文化施設に運営権の導入を促進するための制度の整備を検討しています。
※コンセッション方式・・・ある特定の事業分野で、事業者が施設の所有者等から免許や契約によって独占的な営業権を与えられたうえで行われる事業の方式。
運営権の導入が検討される背景
運営権の導入が検討される理由として、「施設の老朽化」、「施設需要の変化」、「指定管理者制度の課題」などの背景があります。
施設の老朽化
今後全国的に施設の老朽化が進み、維持管理費や更新費等の増大が見込まれます。
施設需要の変化
高齢化・人口減少等で公共施設の利用需要が変化していく中、財政負担を減らしながら効率よく地域住民のニーズに応えていく必要があります。
指定管理者制度の課題解決
指定管理者制度の次のような課題が解決できます。
- 指定期間が3-5年と短く、長期的な視点に立った運営が困難
- 自由な投資活動が難しく、民間事業者の創意工夫が十分に生かされにくい
- 施設・設備の経年劣化など、潜在的なリスクをだれが担うのか不明確である。
運営権のメリット
運営権の導入により、自治体等、事業者、施設利用者のそれぞれに次のようなメリットが生まれます。
自治体等
- 事業主体から対価を徴収することにより、施設収入の早期回収が実現できる。
- 事業収支及びマーケットリスクが公的主体から事業者に移転する。
事業者
- 運営権を独立した財産権とすることで、抵当権の設定が可能となり、資金調達が円滑化する。
- 利用料金の設定・収受が可能となるなど、自由度の高い事業運営が可能となる
- 運営権の取得に要した費用は、減価償却が可能となる。
施設利用者
- 事業者の創意工夫により、質の高い公共サービスが受けられる。
※ 文教施設における運営権制度の導入に関する検討会の動向は次のページに記されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/040/